書籍・雑誌

『エスクァイア』の休刊

『エスクァイア日本版』が休刊を発表した。ミュージアム特集も定期的に提供してくれていただけに残念。

『エスクァイア日本語版』休刊のおしらせ

昨今の不況の影響ということだが、「ハイクラスな生活へのあこがれを創出する」という宿命をもった雑誌メディアそのものにも限界が来ている?

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チャールズ・イームズ写真展

生誕100周年
チャールズ・イームズ写真展−偉大なるデザイナーのメッセージ
2008年5月20日〜6月8日
AXIS GALLERY(六本木)

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精悍な展示デザイン

イームズ夫妻といえば椅子が有名だが、彼らは写真や映像作品にも秀でていた。この展覧会では、デザインプロセスとしての写真を彼の引用句とともに紹介する。会場内につるされた写真パネルの裏にイームズの言葉が印刷されていて、来場者はパネルを裏と表から眺めることになる。壁際にはイームズの椅子が配され、ゆったりと腰掛けながら、しばしイームズの言葉に耽る。インスタントカメラの広告用に撮影されたイームズの映像作品とともに満足のいく時を過ごす。

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なお先着2500名に配布された6カ国語対訳の小冊子『チャールズ・イームズの100の名言』も入手。ヒンディー語も所収されているのが嬉しい。

8月8日にはイームズの映像作品集が発売となる。予約をお忘れなく。

チャールズ&レイ・イームズ 映像作品集 DVD-BOXチャールズ&レイ・イームズ 映像作品集 DVD-BOX


販売元:ジェネオン エンタテインメント

発売日:2008/08/08
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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機能追加のお知らせ

「ミュゼログ速報」:
美術館、鑑賞教育、ワークショップ、アート、ミュージアム、デザイン、の6つのキーワードに従って関連NEWSをGoogleから探してくるように変更しました。場所はサイト右側の一番上。表示は自動でかわりますが、お急ぎの方はそれぞれのキーワードを選択してください。

「アート&デザイン」:
展覧会やデザインに関する情報を扱っているポータル・サイトへのリンクです。隔月で更新予定。

「クリエイティブ・リソース」:
ウェブ上のアーカイブへのリンクです。展覧会・美術教育・デザインを考える上でなんらかの役に立つようなものを選んでいきます。隔月で更新予定。

「ミュージアム」:
これまで本文の下あたりにリンクを貼っていたものをサイドバーにまとめました。そのうちに教育普及事業に特徴のある館をまとめていく予定です。月一回程度の更新を予定。

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図書館特集:『近代建築』4月号02

図書館特集:『近代建築』4月号02

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 前回に引き続き、『近代建築』4月号が勉強になったという話です。今回は長崎市立図書館運営統括責任者、小川俊彦氏の稿「管理者として見た望ましい図書館建築」について。小川氏は建物の大きさはどのように決めるべきか、使いやすい図書館とはどんなものか、運営する上で建設計画から気をつけるべきことはなにか、をわかりやすく語っておられますが、「使いやすい図書館」について書かれた箇所が図書館に限らず広く文化施設に当てはまる内容でしたので紹介したいと思います。

「座れる、しゃべれる、読書が楽しめるという空間が用意できれば、それも街中にあり、中で利用している人たちが見える図書館であったりすれば、そこは間違いなく集合場所になり、待ち合わせの場所になってくる。本があるところ、情報のあるところ、が図書館であるが、同じように人が集まってくるところ、が図書館でなくてはいけない。」

 これを読んだとき、私の頭をすぐさまよぎったのは金沢21世紀美術館でした。SANAAが作り出した総ガラス壁の開放的な空間は、まさに小川氏のいう図書館像と合致するものでしょう。彼はさらに、建物の外観だけでなく内部においても「開放感」が肝要と考えています。

「図書館に一歩入ったとき、館内が見渡せるというのは、利用者に安心感を与えてくれるのである。先が見えない、働いている職員も見えないでは、入ってよいものか、勝手に歩き回ってよいのか、どこに何があるのかがわからなかったなら、少し気の弱い人、子供やお年寄りなども図書館は近づきにくいものになってしまう。」

 そのため「気軽にものを尋ねられる職員を配置する必要がある」とのこと。そういえば、前回の植松氏の頁にスウェーデン、マルメ市立図書館のインフォメーション・デスクの様子を映した写真がのっていましたっけ。説明によると「職員が立って待機していることで声をかけやすく、利用者と職員が横に並んでパソコンをみられる」とあります。なるほどインフォメーション・デスクも「開かれた」形状をしていて、よくあるカウンターのように、こちら側とあちら側を隔ててはいないのが印象的です。
 少し脱線してしまいましたが、小川氏の考える「使いやすい図書館」とは要するに「親しみやすい図書館」とほぼ同義といっても差し支えなさそうです。書架の高さは1段30センチとして5段までが望ましいというのも、それなら小柄な人でも手が届き、目の悪い人でも書名が読み取れる高さということ。理にかなっています。ちなみに児童の書架は絵本なら3段、読み物なら4段とする図書館が多いそうです。
 この記事を読んで最後に気になったのは、美術館のいわゆる「美術図書室」はどうだろうかということでした。利用者にとって「親しみやすい」空間を提供できているでしょうか。

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図書館特集:『近代建築』4月号01

図書館特集:『近代建築』4月号01

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いまさらな話題ですが、近代建築社が発行する雑誌『近代建築』の4月号で図書館特集が組まれています。建築雑誌なので建物の写真がメインですが、筑波大学付属図書館長植松貞夫の「これからの図書館像とそれを実現する図書館建築」という記事が勉強になりました。

 植松氏は、図書館は現在、紙媒体とデジタルコンテンツ双方を提供する「ハイブリッド・ライブラリー」の状態にあり、その状態は今後も長く続くと予想していますが、「ハイブリッド・ライブラリー」という現状において、利用者は目的の資料・情報を探す際、印刷物には目録、デジタル・コンテンツにはメタデータ、そしてネットワーク上のものは検索エンジン、とそれぞれ使い分けなければならない不便があり、資源リンキングシステムを組み込んだ図書館ポータルの開発が急務であると主張しています。

 また植松氏は大学図書館の2大機能である教育と研究支援のうち、研究支援に関わるものは非来館型のサービスへと既に移行しており、図書館サービスの場である建築は、学部学生への教育支援を目的にすべきと捉えています。考えてみれば、私達が論文を探す際にはもっぱらウェブ上の検索サービス(GeNii等)が主流になっていますし、専門化すればするほど図書館の蔵書では対応しきれないものが多くあります。その意味で「場所」としての大学図書館における研究支援は、各学科の基礎となる重要文献を押さえる程度(すなわち教育支援)へと緩やかに移行していくのかもしれません。

もう一点なるほどと感じたのは、大学の地域社会への貢献が不可避となった今日、大学図書館は何をするべきかという点です。一つは学外者の利用を念頭においた館内サインの充実であり、もう一つは館内セキュリティへの配慮。どちらもこれまでの大学図書館が見逃してきて部分ではないでしょうか。社会に開かれた大学が求められている以上、その主要な窓口となる図書館の館内サインもしっかりとデザインし、使い勝手を高めておく必要があるのだろうと感じます。


ちなみに植松氏が館長を務める筑波大学付属図書館は、3月に大学図書館としては初めてスターバックスを導入し話題をよびました。この論考でも「カフェや作品発表の場を設けるなど特段の目的をもたなくても来館したくなるような雰囲気をもつ必要がある」と主張しておられます。

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佐藤可士和のウェブアーカイブ

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広告あるいはコミュニケーション・ツールとしてのウェブアーカイブ


 大阪芸術大学が主催するデザインフォーラムmovement2008に参加したのだが、ゲストの一人、超人気アートディレクターの佐藤可士和の講演が印象に残った。正直なところ、彼の講演内容は「アートディレクターの新領域」という多摩美術大学が公開するポッドキャストでほとんどフォローできるもので、既にそのポッドキャストを視聴している私にとってはとりわけ目新しいものではなかった。では何が印象に残ったかというと、講演時に提示された彼個人のHPのデザインとその使い方である。今回、彼はHPだけを使って話をしたが、そのHPは明快に整理されたウェブアーカイブであり、佐藤にとって極めて使いやすい広報ツールとなっているようだった。彼のあらゆる仕事が「色」を基準に超整理された状態で一般公開されているこのHPは、まさに「広告としてのアーカイブ」「コミュニケーション・ツールとしてのアーカイブ」である。そのウェブデザインはユニクロのグローバル戦略でチームを組んだ中村勇吾の手によるものだが、アートディレクションは佐藤自身だそうだ。
 おそらく佐藤はどこに講演にいってもネット環境さえあれば、自分の仕事をオーディエンスに明快に提示できる。講演のためにパワーポイントやキーノートをわざわざ準備する必要ももはやなさそうだ。これほど利便性に富んだアーカイブは見たことがない。よく出来たアーカイブはそれだけでコミュニケーション・ツールとして力を発揮するということを改めて考えさせられた。・・・それにしても『佐藤可士和の超整理術』という書籍を出しているだけあって、徹底して整理された感のあるHPであった。

佐藤可士和のHP kashiwasato.com

佐藤可士和の超整理術佐藤可士和の超整理術

著者:佐藤 可士和
販売元:日本経済新聞出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


プロフェッショナル 仕事の流儀 アートディレクター 佐藤可士和の仕事 ヒットデザインはこうして生まれるプロフェッショナル 仕事の流儀 アートディレクター 佐藤可士和の仕事 ヒットデザインはこうして生まれる


販売元:NHKエンタープライズ

発売日:2006/09/22
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大学図書館の広告力


(注:時間によっては図書館が舞台ではないときもあるようです。)


大学図書館の広告力

 伊東豊雄の建築で注目度が高かった多摩美術大学図書館。現在、この図書館はユニクロがブログパーツとして広く配布している「ユニクロック」に使用されている。「ユニクロック」は女性ダンサーがユニクロの衣服を着てリズミカルに踊るスクリーンセーバーであり、ブログパーツでもある広告媒体だ。つまりユニクロックを使う人は舞台となっている多摩美術大学の図書館を必然的に目にすることになる。同図書館はユニクロの他、アップルジャパンの広告にも活用されたばかりである。ユニクロのアートディレクションを同美大出身の佐藤可士和が務めていることと関係があるのかどうかはわからない(ユニクロックの映像を手がけるのは、映像作家の児玉祐一)が、少なくとも広告に相応しい場所として選び出されたことは間違いない。映像をみる限り、身近ではあるがやはり特別な場所である図書館を使う面白さが感じられる。
 なるほどユニクロはこれまでも東京国立博物館の特別5室前の大階段を使ったことがあり、文化施設を使うことには先例があった。とはいえ、これまで大学図書館がCMに使われることなどあっただろうか。閲覧環境、資料へのアクセス性など基本的な機能を充実するのは当然として「デザイン」という付加価値が付いた図書館は、企業の広告に乗って大学のブランディングにも力を発揮する・・・。多摩美の図書館とユニクロックの組み合わせは大学図書館の新たな可能性を物語っているように感じられる。

追記:
ただし、多摩美術大学図書館の立地が東京近郊というのは大きい。広告を作る側にとって利用しやすい位置にあるというのは重要なことで、地方の大学が同様のことをしても広告力を発揮する機会は少ないものと予想される。

つくる図書館をつくる―伊東豊雄と多摩美術大学の実験Bookつくる図書館をつくる―伊東豊雄と多摩美術大学の実験

販売元:鹿島出版会
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書籍紹介『美術と展示の現場』

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書籍紹介 
秋元雄史他著『美術と展示の現場』新宿書房,2008年.

展示の場を巡る多角的な考察

美術館に席を置く四人の識者が、それぞれの立場から展示を巡る「今」を語る。本書は、神戸芸術工科大学の連続講義の記録であるが、内容をみれば学生への影響もかなりのものと想像できる。金沢21世紀美術館の館長職にある秋元が、美術を見せる「場」が美術館からいかにして地域へと拡がっていったのか、を前任地の直島の事例を基に夢のある話題を提供したかと思えば、東京都写真美術館の笠原からは仕事をする環境、すなわち就職先としてみた場合の美術館の厳しい現実が語られる。その一方で、兵庫県立美術館の中原と東京国立近代美術館の増田は、より根源的な問題に踏み込んでいく。中原が現代美術の多様な作例を引きつつ、美術にとって展示とは何かを今一度考えさせるならば、増田は自身の専門である写真の美術館における展示史を概略しつつ、美術館の在り方に対して示唆に富む言及を残す。講義の際に示されたであろう図版をもう少し所収してほしいという願いはあるものの、読んで素直にわくわくできる、そんな内容の一冊だった。美術館への就職希望者のみならず、作家志望の学生にとっても一読の価値がある。

Book美術と展示の現場 (神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ 2-1)

著者:秋元 雄史
販売元:新宿書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する


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書籍紹介 『日経 五つ星の美術館』

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書籍紹介
『日経 五つ星の美術館』日本経済新聞出版社,2007年.

格付けされた美術館

 ミシュランガイドにも東京版が登場し、世間的にも何かと「格」という言葉が流行している昨今。だが本書において「美術館を格付ける」という行為は、そうした流行に安易に乗ったものではない。美術館が置かれている現実に鋭く反応した結果出てきた価値ある調査成果なのだ。

 独立行政法人化された国立の博物館・美術館は、企画と採算の間の葛藤が高まり、地方の公立館は予算削減と指定管理者制度に揺れている。そうした現状をふまえ「費用対効果、入場者数に依存するだけが美術館の評価ではない、新たな評価基準が必要」と関係者の誰もが思っている中、一つの指標を提示したのが日本経済新聞社だった。さすがは文化欄にも定評がある同社である。ここ10年の間にミュージアムをどう評価していくかはマネジメント意識の伸長とともに盛り上がりつつあったが、ここまで大々的に評価を下し、書籍という一般の目に届く形で提示した先例はない。

では実際には、どんな評価方法を採ったのか。どうやら美術館の仕事を3つにわけて考えたようだ。展覧会の企画力や研究能力を計る1)学芸力、入場者数や助成金獲得具合などを計る2)運営力、学校等と連携したプログラムなどを計る3)地域貢献力、を評価軸として策定。これに専門家の意見を加味し、それぞれの館の偏差値として算出し、星5つから星1つまで5段階の総合評価を与えている。

調査主体も認めているように、評価の時期と基準により、星の数は容易に変化してしまう。そのため本調査の結果与えられた星の多さで館の能力を即断するわけにはいかない。ただし、重要な点は、調査主体の努力によって全ての国公立美術館を対象に評価が「初めて行われた」ということである。今後もミュージアム評価の問題は議論の尽きない領域だが、本書は「変化のための着実なる一歩目」と評価できよう。

日経五つ星の美術館日経五つ星の美術館

販売元:日本経済新聞出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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閑話休題07

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閑話休題07

『美術検定 1・2級受験のための美術実践講座キーワード
これだけは知っておきたい88』美術出版社,2007年.

少なくとも、このくらいは

 以前、このブログで美術検定について批判的なコメントを書いた。今回は、それに関連した話。少し前になるが、その美術検定の受験参考書が登場したのである。なかなか役に立ちそうな本だったので紹介したい。

 この本はアートナビゲーター検定の過去問集ではなく、関連知識のキーワード辞典となっている。そのため、美術検定を受ける者以外にも広く役立つ内容になっているのが嬉しいところ。ミュージアムで働きたいと思い始めた学生や、アートプロジェクト等に興味をもった人がまず参照するのに適している。一言でいうと、「少なくとも、このくらいは押さえておきたい」という知識が集められている本である。

 88のキーワード毎に大まかな知識を与えることが目的となっているので、興味をもったら巻末の参考文献リストを基に、さらに理解を深めていく必要がある。ただし、その参考文献リストが物足りない。過去の問題作成者から提出してもらったリストを基にしているようだが、博物館教育と美術館建築に関する書籍がとくに手薄な印象。もっとも芋づる式に読みあさっていけば、いずれは辿り着くのかもしれないが・・・。

 文中でとくに押さえておきたいのが、現状での課題や論者の見解が書かれた箇所である。例えば、「公募展」の項では、作品を美的な判断で批判するだけでなく、生涯学習という視点から捉え直してみる必要があると論じられている。こういう部分が随所に見られるのが本書の良いところである。おそらく検定の際には、これらの現状分析と見解を暗記しておくと点がとれる仕組みになっているのであろうが、こういう本が一冊あると助かるもの。検定制度の是非はともかく、便利に使えるありがたい副産物が出てきたことを素直に喜んでもいいだろう。

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閑話休題06

『ACACアートの森 体験学習BOOK』
国際芸術センターAIR実行委員会,2007年.
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教育と普及の関係を考える

「本書では、これまでACACに滞在した世界中のアーティストたちが行ったワークショップ、また経験豊かな自然環境を活かした造形教室、自然観察など、ACACでしか体験できない多くのワークショップを紹介しています。遠足、体験学習などの場として、「ACACアートの森」をぜひご活用ただきたいと思っております。」(序より引用)

 この『ACACアートの森 体験学習BOOK』の意義を、簡潔に言い表すならば、「これまでの成果に立脚した普及活動」が相応しい。その意味において、この本は2つの役割を担っている。1つは、これから施設を利用するかもしれない学校教員に対するセンターのPR。中を見ればわかることだが、それぞれのワークショップにはおおよその定員と時間、そして対象年齢と目的が記されている。いうなればワークショップのカタログだ。教員はこれを元にワークショップを「注文」できる。

 もう1つの役割は、センターにおけるアーティスト・イン・レジデンスの成果報告。紹介されているワークショップには滞在アーティストにより生み出されたものがいくつかある。つまり、自分たちはこんな活動実績がありますよ、というアピールにもなっているのだ。言うまでもなくアーティスト・イン・レジデンス事業では、地元の人々の交流が重視される。その一つの形が子供たちとのワークショップである。

 この本を手にした者は、国際芸術センター青森がこれまで行ってきた活動を知るとともに、今後その場所でできることを知る。今すぐに、というわけではないかもしれないが、実際に校外での活動に組み込もうと考える人も多いのではないか。

報告書でもなく、パンフレットでもない。どちらの性格も合わせもった本書には、教育と普及の一つの理想的な関係が見出せるように思う。これまでの体験学習の成果は、言い換えればセンターにおける教育の成果である。そうして蓄えられた資源を『体験学習BOOK』という形態に落とし込むことで普及活動へとつないでいく。社会教育施設としての役割を十全に示す広報の在り方として評価されるべきもののように思う。

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モデルプランが提示される。
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ワークショップの紹介頁。
*画像はぼかしてあります。

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閑話休題04

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閑話休題04

小菅正夫『<旭山動物園>革命―夢を実現した復活プロジェクト』
角川oneテーマ21, 角川書店,2006年.

 旭山動物園に行く。それは相当に大変なことだ。なんといっても遠いし、それなりの予算もいる。しかし、多くの人が実際に足を運ぶ場所。本書はそんな注目度の高いミュージアムの園長が、不振の時期から成功までの道のりを記したものだ。

「見せ方を工夫する」
見せ方を工夫するとは、動物が能力を発揮できる環境を与えるということ。これはすなわち展示デザインの整備である。なるほどどんな展示にすれば作品の良さを一番引き出せるかは美術館の職員も特に気を配るところ。ただ、生きている動物たちにとっては、自分たちの特徴を発揮できる展示環境が彼らのストレスも軽減し、彼らの「保存」にも一役買っているあたりは動物園ならでは。

「失敗を隠さない」
旭山動物園がここ数年のブレイクを迎える以前、同園でのエキノコックス症発生がメディアに取り上げられたことを記憶している人もいるだろう。エキノコックス症は届け出が必要な法定感染症ではないらしく、公開するかどうか判断に迷ったそうだが、失敗を隠さないという姿勢から公開に踏み切ったという。当たり前の判断だが、どこかの原発の事後対応を見ても、組織ではなかなか難しくなるようだ。

「動物園の役割」
動物園は英語表記でzoological garden、略してzooとなる。つまり動物学の園であって学術施設といえる。旭山動物園ではこれに Wildlife Conservation Centre(野生生物保護センター)が英語名に加わり、絶滅の危険のある動物たちの繁殖を助け、野生に返す活動も進めているとのこと。著者曰く「動物のための動物園」を目指しているのだそう。

旭山動物園といえば、とかく画期的な展示方法に注目が集まりがちだが、本書はそれ以外の、より正確に言えば、その展示が生まれてくるための動物園の在り方を示している。帯書きにあるように「ビジネスモデルの原点」として読むのもいいが、動物園とはどういう場所なのか、それを改めて考えるのにも役に立つ一冊だ。

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美術検定 アートナビゲーターはどこへ?

美術検定 アートナビゲーターはどこへ?
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前回、美術検定の知の在り方を問うた。そして、美術検定における「モノを観る力」は、知識偏重、従来型の美術との関わり方と同じであると結論づけた。しかしもうちょっと考えてみたいことがある。そこで今回は、アートナビゲーター検定から美術検定へという名称変更に今一度注目しよう。

2003年から始まった「アートナビゲーター検定」。僕はこの名称が好きだった。実態はどうであれ「アートナビゲーター」という言葉には一つの専門性を感じるし、ジャンルとして確立させようという気概のようなものを感じる。なにより「ああ、そういう活動をしたい人たちが受けるのね」とわかりやすかった。

では「美術検定」はどうだろう。印象としては美術が好きな人が受けるもの、である。そこには専門性もあまり感じとれないし、既にあるジャンルだから目新しくもない。僕なりの解釈では「アートマニア検定」だ。

ナビゲーターとマニア、そこには大きな違いがある。「アートナビゲーター」であれば求められる知識が、たとえ「暗記する知」であっても人を案内するために最低限必要なものと捉えられる。それは社会性のある行為だ。

けれども、名前を変えられた、美術検定、僕の印象での「アートマニア」ではそういう社会性を感じることはできない。とても個人的な行為になってしまったように思える。知識が自己完結する世界と言ってもいいだろう。

よくよく考えてみると、今回の名称変更にはこうした意味合いの変化を見出せる。案内役から趣味人へ。そういう意味ではこの変化、専門学校だったものがある日カルチャースクールへ変わった、そういう大きな変化だったのではないか。たかが名称、されど名称。名称変更。それはまた、これまでアートナビゲーター検定を受けてきてくれた人たちに対して失礼なことだと僕は思う。なぜこういうことになってしまったのだろう。

近年、美術を取り巻く状況、ことミュージアムの教育普及事業は大きく進展してきたはずである。子どもをターゲットとした金沢21世紀美術館が成功し、九州国立博物館も教育普及スペースが一つの売りになっている。東京国立博物館も表慶館を教育普及スペースにあてた。

そういう時期に「アートナビゲーター」という名称を捨てたということは、この検定の制度としての敗北を示しているのかもしれない。今後もこの問題は注意深く見守っていきたい。

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美術検定 モノを観る力?

美術検定 モノを観る力?
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昨年まで「アートナビゲーター検定」と言われていたものが「美術検定」と名を変えたらしい。名前が変わったことにより、どうにも言えない違和感をおぼえる。いや、正確には名称変更が問題なのではない。問題は付け足されたキャッチコピーとの相性だ。「モノを観る力。」

「モノを観る力」とはなんだろう。アートナビゲーター検定の過去の問題は、はっきり言って、アートに関する「知識」を問うものだ。「サグラダ・ファミリアの設計者は誰か?」「作者と作品でまちがった組み合わせはどれか?」などなど。

作品について知る、語る、あるいは他人をナビゲートするにはそれもいい、当然必要だ。だが果たして、それを身につけたところでモノを観る力が養われたと言えるのだろうか。それでも広告では高らかに謳う。「アートを知ることでアートを観る力がついてくる」と。

要は「モノを観る力」をどう考えるか、それが問題だ。仮にその力が「鑑賞」という行為に長けることを意味しているなら、目の前の芸術作品について知っている、「わかっている」というだけでは済まないだろう。

一枚の絵をみたとき、みんながみんな同じ感想を持つということはほとんどない。様々な意見や経験が一枚の絵を観ることから生まれ出るものだ。つまり、鑑賞とは個人的な体験で、そこから紡ぎだされる言葉もごくごく個人的なものでよい。そもそも観る力はあなたの内に備わっている。だからこそアレナスが提唱するような鑑賞プログラムにおいては、それを共有することを大事にしているのではなかったか。

だが、美術検定の内容では「モノについて知っている」の意味にしかならないだろう。そこから出てくるのはお仕着せの言葉たち、習得した知識だ。それではキャプション(解説文)を熟読してから、作品をちらっと流し見るという従来の鑑賞態度と指向性において大差がないように思う。美術検定も「始めに知識ありき」だ。

確かに知ることは大切で楽しいし、認定証によって夢を叶える人もいるだろう。そして美術検定を足がかりに、自由に美術と向き合い始める人もいるだろう。少々値段が高いとしても検定制度に一定の意味があることは否定しない。ただし、安易に「モノを観る力」を謳うことには疑問をなげかけずにいられない。美術を観ること、美術鑑賞とは何か?それはなんで必要か?という問いに答えるのは、実はけっこう難しいことだと思うから。

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閑話休題02

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閑話休題02

蓑豊『超・美術館革命—金沢21世紀美術館の挑戦』
角川oneテーマ21, 角川書店,2007年.

読みやすい。
ためになる。
やる気がでる。

2004年の開館以来、高い入場者数を維持し世界的に注目されている金沢21世紀美術館。その館長が語る美術館像は、「敷居の低い美術館にして交流館」だ。美術館を市民が自由に立ち寄れる場所にするという発想。カフェ、レストラン、アートライブラリー、ショップなどぶらっと寄りたい場所は全て無料ゾーンに置かれている。「美術館が街を作り、文化が経済を生む」という強い信念の下、ユニークなアイデアで美術館を成功へと導いてきた者の言葉は、単純明快だ。

続きを読む "閑話休題02"

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ミュゼログ(museum+blog)?

ミュゼログ(museum+blog)?  
A Prospectus of Muselog
Update 2007 06 08

ミュゼログ(museum+blog)は、ミュージアム(博物館や美術館)についてのブログです。ミュージアムの教育普及事業に関心をもつ筆者が教育普及事業や展示デザインに注目して展覧会の感想を綴っています。どんな展覧会に行き、何が記憶に残ったか、は書き留めておかないと次第に忘れてしまうもの。筆を進めていくうちに、一年間にいくつ展覧会に足を運んだかも記録されるはず。

またミュゼログは筆者にとっての記憶と記録のための場であると同時に、展覧会の感想を「収集」する場でありたいと考えています。東北で催される展覧会に関していえば、展覧会の感想は個々のブログに散発的に載せられていることが多く、感想や評価が「一カ所」にまとめられることはありません。ミュゼログ(museum+blog)は来館者にとってはコメントやトラックバックを通じて展覧会の感想を自由に書き込める場所として、ミュージアムにとっては展覧会に対する生の意見を知ることができる場所として、機能することを目指しています。

ミュゼログはミュージアムと来館者の「対話」の場を創出します。

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