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書籍紹介『美術と展示の現場』

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書籍紹介 
秋元雄史他著『美術と展示の現場』新宿書房,2008年.

展示の場を巡る多角的な考察

美術館に席を置く四人の識者が、それぞれの立場から展示を巡る「今」を語る。本書は、神戸芸術工科大学の連続講義の記録であるが、内容をみれば学生への影響もかなりのものと想像できる。金沢21世紀美術館の館長職にある秋元が、美術を見せる「場」が美術館からいかにして地域へと拡がっていったのか、を前任地の直島の事例を基に夢のある話題を提供したかと思えば、東京都写真美術館の笠原からは仕事をする環境、すなわち就職先としてみた場合の美術館の厳しい現実が語られる。その一方で、兵庫県立美術館の中原と東京国立近代美術館の増田は、より根源的な問題に踏み込んでいく。中原が現代美術の多様な作例を引きつつ、美術にとって展示とは何かを今一度考えさせるならば、増田は自身の専門である写真の美術館における展示史を概略しつつ、美術館の在り方に対して示唆に富む言及を残す。講義の際に示されたであろう図版をもう少し所収してほしいという願いはあるものの、読んで素直にわくわくできる、そんな内容の一冊だった。美術館への就職希望者のみならず、作家志望の学生にとっても一読の価値がある。

Book美術と展示の現場 (神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ 2-1)

著者:秋元 雄史
販売元:新宿書房
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