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菅野美術館

菅野美術館
宮城県塩釜市

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壁の傾斜が生み出す、心地よさ

 仙台にほど近い港町塩釜の駅を降り、案内板を頼りに住宅街を10分ほど歩くと、丘に面してひっそりとたたずむ菅野美術館に辿りつく。鋼板を使った外壁が赤茶けた姿態をさらし、宮城を代表する彫刻家佐藤忠良の言に従い「藝術は人生の必要無駄」と彫り込まれた表札が訪れる者を迎える。錆を帯びた重い扉を開けると、中は一転、白亜の空間に誘われる。白い内部には、10点弱の彫刻作品が気持ちのよい間隔で配置され、それぞれの魅力と穏やかに向き合うことができる。

収蔵品はロダンやムーア、ブールデルら有名作家の小さめの作品が揃う。数は少ないが、個人コレクション、さらに塩釜という地勢を考えれば充実していると言わざるをえない。

だが、菅野美術館は収蔵品もさることながら建物自体が見所だ。阿部仁史の手による内部空間は圧巻。外壁同様にデザインされた白い鋼板が大胆に傾斜して配されることによって、絶妙の間仕切り感が演出されている。決して暗くはないが「洞窟」あるいは「教会」のような雰囲気をもつといってもよいだろう。訪れる前、写真で内部の様子を知った時は、奇をてらった居心地の悪そうな空間に見えたものだが、実際に内部に足を踏み入れ、空間を感じると実に居心地がよい。どこにも扉がないのだが、場所を選べば傾斜した壁がほどよく視線を遮ってくれる。人によって好みはあろうが、住居として使用しても案外気持ちよく過ごせるはずだ。

仙台を訪れたら少し足をのばして、落ち着いた空間で彫刻作品と向き合ってみてはどうだろうか。素敵な時間となるに違いない。

外壁写真
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内部も同様の鋼板のデザインだが、白塗りである。

美術館の表札
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佐藤忠良の言葉が刻まれている。

菅野美術館HP

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