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2008年1月

閑話休題10

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閑話休題10

アニメキャラと工作キット

 少し前に、知的障害を持つ子供たちの作品を観る機会があった。美術教育の関連図書を見渡せば、知的障害を持つ子供たちは独特の感性を湛えた作品を残すと書かれていることがある一方で、作者である子供の心理的な状態を読み取る(もちろん作品だけを観ればわかるというものではない)ことができるとも指摘されている。どんな作品と出会えるのかと期待して出かけていったのだが、その期待は儚くも裏切られた格好となった。というのも、個人の感性の帰結というよりはアニメや漫画のキャラクターに意匠を借りた作品が目立っていたからである。これでは彼ら自身の感性を感じることは難しい。

だからといって、私はアニメや漫画のキャラクターを描くことに抵抗があるわけでもない。こうしたキャラクターたちは今日私たちの日常に身近にあるもので、それを模すことは仕方ないというよりもむしろ当然のことである。とはいえ、児童絵画展においてこれらの「キャラクター物」にお目にかかることがあるだろうか、問題はそこである。

今回訪れた展覧会は、コンクールの選考を経た作品で構成されているわけではない。しかし、私は飾られたキャラクターの数々に、作者たちに対するある種の特別な「眼差し」が存在しているように感じてしまった。一般的な絵画展においては飾られることが許されないのに、なぜ知的障害を持つ児童の絵画展においてそれが黙認されるのだろうか。

もう一つ気にかかったのが、誰が作ってもほとんど同じ「造形」が約束されている、工作キットのような「作品」がわりと目についたことである。確かに出来上がりは綺麗だが、観るべきところは少ない。作者の手を感じさせる作品でなく、キットを使う(使わせる)。「キャラクター物」同様、これもある「眼差し」の結果だろうか。

それでも、作者の熱意と手間暇を感じさせる作品がいくつか観られたことは幸いだった。多少形が悪くても作者の意志が感じられる作品がみたい、そう思いながら会場を後にした。

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