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六本木クロッシング

六本木クロッシング:未来への脈動
2007年10月13日〜2008年1月14日
森美術館

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オーディエンス賞で「交差」に参加する。

 面白い作品の点数も揃っていたし、若い作家の力量も垣間見えた。ただ、展示としてのまとまりには欠けている。いっこうに交差の「点」が見えない36組の作品から、来館者は「未来への脈動」をどう感じ取ればよいのだろう。脈動という周期的なイメージよりも不整脈のごとき混沌が、一つ一つの作品の良さを奪っていると感じたのは私だけなのだろうか。

 本展「六本木クロッシング」は『美術手帖』12月号で特集されている。それによると本展は4人のキュレーターにより企画されたらしい。なまじ事前に目を通したのがよくなかったのか、自然と「船頭多くして船山に上る」という言葉が思い出される。本展に関してはなにかと比較されることの多い、東京現代美術館のspace for your future展のほうが展示内容に一本筋が通っていたことは確かだ。作品の選定の基準があまりにも見えてこない。

そんな状況にあっても、きっちりと存在感を示した二人の作家がいた。一人は小品であるが実に緻密な版画を制作する富谷悦子、もう一人は日常に潜む笑いの種を拾い上げる能力に長けた田中偉一郎。この二人が私にとっての「今見たい(見るべき)作家」となった。そう、ここに展示されているのは「今見たい日本のアーティスト」たちの作品である。榎忠や吉野辰海、四谷シモンといったすでになじみのある作家たちの作品を「今見たい」と感じなかったのは、私にとって「今」という言葉に未知なるものに対する期待が含まれているからに違いない。これはあくまでも私の感想。決して榎忠や吉野辰海の作品の質が劣っていたわけではない。

私のように「この作品がなぜ展示されたのか」に引っかかることなくそれぞれの展示品と向き合えれば、混沌の中から好みの作品を数点拾い上げることができるはず。会場はそれだけの多様性を有している。

普段から教育普及事業にも力を入れている森美術館。本展では来館者が気軽に参加できる「オーディエンス賞」が設けられている。会場出口のタッチ・パネル式の端末を操作すれば、「最も印象に残った」作品に一票投じることができる。投票することで展覧会と実際に関わることができるし、来館者が展示を観る上での一つの動機付けになる企画である。ただし、鑑賞の際に少なからず「好き嫌い」で作品を取捨選択することに重点が置かれてしまうのではないかと気になった。「印象に残る」と「好き嫌い」は必ずしも一致しないとはいえ、多くの人は自分が気に入った作品に一票を投じるだろうから。

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