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金刀比羅宮 書院の美

金刀比羅宮 書院の美 
応挙・若沖・岩岱から田窪まで
2007年10月1日〜12月2日
2007年12月29日〜2008年1月31日
金刀比羅宮(香川県)

Img408

デザイナー若沖、圧巻の奥書院

 「こんぴらさん」の愛称で親しまれている金刀比羅宮。現在、通常非公開の奥書院が公開されている。『金刀比羅宮 書院の美』、この展覧会は今夏、東京芸術大学大学美術館で開催されていたのだが見逃していたもの。東京の美術館ではなく、本家本元で見ることになろうとは思いもしなかった。金刀比羅宮は展示品が本来そこにあった場所であり、ホワイトキューブでは味わえない「何か」が生まれるはずだ。期待が高まる。

展覧会の体裁としては、表書院、奥書院、白書院、高橋由一館、宝物館の全五会場。五会場全てに入れる共通券を買うと、なんと一般で2000円(学生800円)もかかる。高い、かなり強気の価格設定だ。書院共通券だと1200円なので、多くの人にとってはそれで十分ということになるだろう。

円山応挙作の表書院障壁画は、四面がひとつながりの景色として描かれており、これぞ日本の襖絵という印象である。展覧会のポスターにも使われている水を飲む虎たちは、虎というよりは猫に近い。実にかわいらしい姿である。当時、実物の虎を目にする機会はほとんどなかったわけだし、身近にいる猫からイメージをふくらませたのだろう。それでも私見の限りでは、当時の他の虎図と比べて応挙の虎は上手である。

まあまあという印象の表書院に比べて、伊藤若沖の描いた奥書院は圧巻だった。<花丸図>においては余白の美という考えを捨てたのではないかと受け取れる表現をみせている。襖全面に規則正しく配列された花々は、咲き乱れるというよりも図案化された装飾的な花であり、植物標本のようですらある。明らかに野にある花を描いているのではない。枝振りや花弁の位置など、巧妙にデザインされた花は今見ても全く古さを感じさせない。実に耐久力のあるデザインだ。応挙はじめ当時の画家たちが障壁画に物語のある景色を描いたのに対して、若沖は全く異なるアプローチを採っていたことがわかる。奥書院を観るだけで、この展覧会を観てよかった、そう思える空間であった。翻って考えてみるに、東京でこれを観ていたらどんな感じだったのだろうという疑問が生じた。この空間がいかに再現されていたのか、見逃したのが悔やまれた。

なお、この展覧会はパリのギメ東洋美術館にも巡回することになっている。若沖の障壁画にフランスの観客がどのような反応を示すのか、興味は尽きない。アール・ヌーボーに親しんでいる者なら嫌いではないと思うが・・・。

田窪恭治が制作中の白書院障壁画については、未完成ということもありなるべくコメントは差し控えたい。一点だけ批判的なことを述べるとすれば、壁面に設置された有田焼の青と白の陶板は、書院の雰囲気に全くそぐわなかったという点である。
壁画に期待したい。


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