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ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展

ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展
〜アリス、あるいは快楽原則〜
2007年8月25日〜9月12日
ラフォーレミュージアム(ラフォーレ原宿6F)
Img398

幻想の博物誌家

シュヴァンクマイエル展をみた。シュヴァンクマイエルは、熱狂的ファンをもつチェコの映像作家である。場所はラフォーレ原宿。来館者層は当然のごとく若い。本展は彼の代表作である『アリス』の世界を主軸に、彼のドローイング、立体作品を展示している。展示品の選定はシュヴァンクマイエル本人が行ったという。

シュヴァンクマイエルといえばコラージュの手法で知られているが、生物のコラージュ(あるいはキメラ)ともいうべき「博物誌」のオブジェ群が、展覧会の導入になっている。骨や剥製、木などが継ぎ接ぎにされたオブジェにより誕生する架空の生物たち。彼の独特の世界観が、観る者を惹きつける。幻想の博物誌家、そんな言葉が浮かぶ。図鑑には存在しない生物が彼の頭の中に確かに存在したようだ。そのほか、アルチンボルドの連作四季<夏>を引用したものや、17世紀の版画に着想を得たドローイングを観ることができる。

倒木を赤ん坊に見立てたような人形があった。<オテサーネクの人形>である。これも「継ぎ接ぎ」してあるのか、題箋からはわからなかったが、よく見つけてきたものだ、と感心する。魔物の子供のようにすら思える、なんとも不気味な木の人形。人形たちの中には彼の映像に登場したものもあるというが、映像作品を見ていた者はそのことも楽しめただろう。不幸にも私は元の映像を見逃している。この木の赤ん坊も動いていたのだろうか。

展示品もさることながら、展示の方法にも見るべきところがあった。中が見えないように覆ったアームサックが壁にかかっている。手を入れてみて中の感触を確かめることで「触覚」を解放させる仕掛けだった。となりの解説文にはガラスも中に入っていると記載されているので、恐る恐る手を入れてみる。自然と感覚が鋭敏になる。またハンズ・オンでぱらぱら漫画の動きを実際に試してみることもできる。シュヴァンクマイエルによる『人間椅子』のための絵が動く。やはり手にとって見られるのは面白い。

シュヴァンクマイエル自身にとっても「触る」ということが重要な意味を持っているようである。なるほど「触覚」はエロティスムという快楽原則にとって大きな要素である。しかしそれ以上に、視覚に囚われずに世界を知覚するための手段が、彼にとっては「触覚」だったのだろう。展示においても触覚主義が謳われている。

シュヴァンクマイエルの膨大な作業量を感じさせるコマ撮りの映像の中で、「触覚」に対する意識はどのように活かされているのか、本展によって新たな視点を得たように思う。

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