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青森県立美術館 常設展Ⅱ

青森県立美術館 常設展Ⅱ
2007年6月26日〜9月24日
青森県立美術館
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いい展示はある。しかし・・・

 先頃一周年を迎えたばかりの青森県立美術館の評価が芳しくない。入場者数が伸び悩んでいるのだ。ようやく青森県にも本格的な美術館ができる、と期待されていたし、建築も話題をさらっていたはずだった。だが開館後、2つ目の企画で大きく入場者数が落ち込んだ。その後一年たって美術館はどうなったか、現状を見るべく足を運んだ。

まず駐車場から一番近い入り口が閉まっている。そもそも美術館の立地からして入り口がこれほど必要だったとは思えないが、設けられている以上閉まっていると寂しいもの。白壁やネオンサインもやや汚れてきた印象だ。
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入ることができない入り口。
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少し汚れてきたかな。

 結論から言ってしまえば、内部の展示はいいものが多い。巨大なホールにかけられた目玉の「アレコ」。以前は論争を巻き起こしたが、今は美術館の中で不動の地位を得たといえる。なにしろこのアレコを中心とした開館記念展は大入りだったのだから。

寺山修司に関する展示室は、一年前は閑散としていたが、映像が3方向に流されるなど充実した様を見せていた。ただ、家庭的なプロジェクターやDVD機材がむき出しになっており、舞台裏のような雰囲気の展示室に似つかわしくない。予算との兼ね合いもあろうが、もう少しプロっぽい機材を準備してほしいところだ。

もう一つ美術館の成長を感じたのが「×Aプロジェクト」という試み。「青森県ゆかりの作家と関連の深い作家、青森県の特性を導きだし得る作家を取り上げ、コレクションと連動させながら「青森」を考察していくプロジェクト」だという。第1回目はフロリアン・クラールという人物の幾何学的なインスタレーション<無限カノン第四番>。アルミによる有機的な造形が美しい。今後も期待のプロジェクトだ。

その他にも、斉藤真一の作品群は、暗い画面だが何か心の奥底にある情景として印象に残ったし、「考現学」についての展示も面白かった。総じて展示内容は充実していたといえる。
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美術館のやる気を感じる、常設展のパンフレット。

しかし、である。
奈良美智の<青森犬>の写真を撮れないのは相変わらずだった。<青森犬>は美術館の顔として多くのメディアに露出しているが、今や訪れた人が最もがっかりする作品の一つだろう。近寄れもせず、写真も撮れずの作品だからだ。

意地が悪い気もしたが、近くにいたスタッフに撮影禁止の理由をあえて聞いてみた。すると、彼女の説明はこうだ。「作品の著作権の関係と・・・作品の保存のためです。」おそらく彼女は博物館学の教科書にのっている知識をひっぱり出してきたのだろうが、この説明で納得する者はいないだろう。<青森犬>は野外にあるので、紫外線による劣化は避けられない。また作品の著作権というのも県立美術館の公共性を考慮すると印象としては「おかしな話」(ただし公共施設における権利概念と実情を知らないので印象でしかないが。)だ。それとも作家が権利を保ったままなのか。いずれにせよ、作家に対して悪い印象を与えかねない説明である。

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作者の権利を守るため写真をとらないで、と書いてある。スタッフは当然これ以上の説明ができなければならない。

なぜ撮影禁止に対する美術館のポリシーを説明できないのだろう。スタッフの教育という課題が見える。撮影禁止を貫くなら、なぜ撮れないのか、その意味をきちんと伝えていくことが必要だ。<青森犬>と来館者を隔てるガラスの壁。そこに美術館と県民の心の温度差が象徴されるように私は感じた。

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「こども美術館デイ2007」のチラシ。小中学生観覧無料の期間が設けられた。

追記
作品の権利関係については私も詳しくない。このあたりのことも少し勉強しようと思う。

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