« 閑話休題05 | トップページ | 柳宗悦と東北の民芸 »

閑話休題06

『ACACアートの森 体験学習BOOK』
国際芸術センターAIR実行委員会,2007年.
Img023

教育と普及の関係を考える

「本書では、これまでACACに滞在した世界中のアーティストたちが行ったワークショップ、また経験豊かな自然環境を活かした造形教室、自然観察など、ACACでしか体験できない多くのワークショップを紹介しています。遠足、体験学習などの場として、「ACACアートの森」をぜひご活用ただきたいと思っております。」(序より引用)

 この『ACACアートの森 体験学習BOOK』の意義を、簡潔に言い表すならば、「これまでの成果に立脚した普及活動」が相応しい。その意味において、この本は2つの役割を担っている。1つは、これから施設を利用するかもしれない学校教員に対するセンターのPR。中を見ればわかることだが、それぞれのワークショップにはおおよその定員と時間、そして対象年齢と目的が記されている。いうなればワークショップのカタログだ。教員はこれを元にワークショップを「注文」できる。

 もう1つの役割は、センターにおけるアーティスト・イン・レジデンスの成果報告。紹介されているワークショップには滞在アーティストにより生み出されたものがいくつかある。つまり、自分たちはこんな活動実績がありますよ、というアピールにもなっているのだ。言うまでもなくアーティスト・イン・レジデンス事業では、地元の人々の交流が重視される。その一つの形が子供たちとのワークショップである。

 この本を手にした者は、国際芸術センター青森がこれまで行ってきた活動を知るとともに、今後その場所でできることを知る。今すぐに、というわけではないかもしれないが、実際に校外での活動に組み込もうと考える人も多いのではないか。

報告書でもなく、パンフレットでもない。どちらの性格も合わせもった本書には、教育と普及の一つの理想的な関係が見出せるように思う。これまでの体験学習の成果は、言い換えればセンターにおける教育の成果である。そうして蓄えられた資源を『体験学習BOOK』という形態に落とし込むことで普及活動へとつないでいく。社会教育施設としての役割を十全に示す広報の在り方として評価されるべきもののように思う。

Img195
モデルプランが提示される。
Img196
ワークショップの紹介頁。
*画像はぼかしてあります。

|

« 閑話休題05 | トップページ | 柳宗悦と東北の民芸 »

文化・芸術」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/408077/7540379

この記事へのトラックバック一覧です: 閑話休題06:

« 閑話休題05 | トップページ | 柳宗悦と東北の民芸 »