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閑話休題03

閑話休題03

映画『NARA: 奈良美智との旅の記録』
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 正直なところ、僕は奈良美智の描く絵にあまり興味がなかった。奈良の描く絵が嫌いというよりは、ロックをかけて煙草をフカしながら、あまりきれいではない部屋でひとり制作をする、という奈良本人の行動に抵抗があったからだ。

2006年夏、青森県弘前市で行われた展覧会に相当な数のボランティアが集まったのは記憶に新しい。この映画は、その話題の展覧会『A to Z』が同地に至るまでの奈良の行動を追ったドキュメンタリーだ。

ナレーターは宮崎あおいでなくてもよかったと思うが、映画の撮り方と構成は見事だった。「奈良美智」という個性が充分に引き出されている。調べてみると、監督の坂部康二は、ドキュメンタリーを中心にテレビ番組のディレクターとして活躍している人物のようだ。『情熱大陸』にも関わっていると聞くとその手腕にも合点がいく。

奈良は言う。「ひとと関わることが多くなってきて、むかし描けなかったものが描けるようになってきているのは確か。でも、むかし描けたものが描けなくなっていることも確か。それが、いいことかどうかはわからないけれど、同じものを描き続けているより変わっていったほうがいい。」

映画が進むにつれて、徐々に奈良の悩みや戸惑いが伝わってくる。その悩みに共感する自分。作品をあからさまに賞賛するでもなく、カメラは静かに、そしてどこまでも奈良の素顔を追い続ける。

映画が終わる頃、奈良に対する僕の見方は変わっていた。人としての共感。僕は奈良を少し好きになったが、彼の絵を好きになるのはきっとまだ先のこと。

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