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閑話休題04

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閑話休題04

小菅正夫『<旭山動物園>革命―夢を実現した復活プロジェクト』
角川oneテーマ21, 角川書店,2006年.

 旭山動物園に行く。それは相当に大変なことだ。なんといっても遠いし、それなりの予算もいる。しかし、多くの人が実際に足を運ぶ場所。本書はそんな注目度の高いミュージアムの園長が、不振の時期から成功までの道のりを記したものだ。

「見せ方を工夫する」
見せ方を工夫するとは、動物が能力を発揮できる環境を与えるということ。これはすなわち展示デザインの整備である。なるほどどんな展示にすれば作品の良さを一番引き出せるかは美術館の職員も特に気を配るところ。ただ、生きている動物たちにとっては、自分たちの特徴を発揮できる展示環境が彼らのストレスも軽減し、彼らの「保存」にも一役買っているあたりは動物園ならでは。

「失敗を隠さない」
旭山動物園がここ数年のブレイクを迎える以前、同園でのエキノコックス症発生がメディアに取り上げられたことを記憶している人もいるだろう。エキノコックス症は届け出が必要な法定感染症ではないらしく、公開するかどうか判断に迷ったそうだが、失敗を隠さないという姿勢から公開に踏み切ったという。当たり前の判断だが、どこかの原発の事後対応を見ても、組織ではなかなか難しくなるようだ。

「動物園の役割」
動物園は英語表記でzoological garden、略してzooとなる。つまり動物学の園であって学術施設といえる。旭山動物園ではこれに Wildlife Conservation Centre(野生生物保護センター)が英語名に加わり、絶滅の危険のある動物たちの繁殖を助け、野生に返す活動も進めているとのこと。著者曰く「動物のための動物園」を目指しているのだそう。

旭山動物園といえば、とかく画期的な展示方法に注目が集まりがちだが、本書はそれ以外の、より正確に言えば、その展示が生まれてくるための動物園の在り方を示している。帯書きにあるように「ビジネスモデルの原点」として読むのもいいが、動物園とはどういう場所なのか、それを改めて考えるのにも役に立つ一冊だ。

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