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ピカソ展

ピカソ展
ルートヴィッヒ美術館コレクション
2007年5月27日~7月16日
岩手県立美術館
Piccaso
本展は独ケルン市、ルートヴィッヒ美術館所蔵のピカソの作品から100点ほどを選び出した、絵画、版画、陶芸、そして写真によって構成される展覧会である。これまでいくつかの美術館でピカソの作品を見る機会を得たが、これほど落ち着いた空間でゆっくりと作品と対話したのは初めてだ。平日、しかも雨の日に訪れたせいもあろうが、ホワイトキューブの空間に整然と配された作品の数々は、見られることを静かに待っている。

版画の割合がやや多く、期待していたほど陶芸作品がなかったのは残念であるが、絵画も、版画も、彫刻も、陶芸も一通り眺めることができる。またキュビズムに至るまでのピカソの足跡も垣間見られ、キュビズムに至ってからの作品との対比も楽しめる。そしてピカソの「日常」を切り取った写真も充実している。この展覧会、ひとことでいえば「ピカソ入門」として最適なのだ。

会場も中ほどまで来る頃には、ピカソは「線」がいい、そう感じさせられた。キュビズムの先駆として面による構成が際立つのはもちろんだが、面を縁取る「線」に惹かれた。力強くも繊細、伸びやかな線を基調にぼかしたような色彩の衣服をまとわせている<手を組んだアルルカン>はその好例。そして、連作版画347シリーズやミノタウロスを描いた一連の版画作品も、やはり「線」により成り立っている。

ピカソはよくミノタウロスを描いているが、それはピカソ自身の心が表されたものされている。性にあけすけで、禍々しく、欲望の赴くまま。でもどこかユーモラスで憎めない。そんなミノタウロスに親近感を抱くのも、それは己が内のミノタウロスを意識するからだろうか。ふと女性はこの怪物をどうみているのか気になった。

会場内では要所要所にピカソの写真が展示されているが、これが構成にいい流れを与えている。つかの間のオアシス、そんな感じだ。これらは全て友人の写真家ロベルト・オテロの手によるものである。友人として一時期家族のように時を過ごしたそうだが、写真からもそれが十分伝わってくる。最後の一角で二十枚ほどまとまってみられるので、ぜひじっくりと時間をとって見て欲しい。それにしてもパブロ・ピカソ、彼はなんと絵になる男だろう。

ピカソ展、というより岩手県立美術館は建物の構造上、会場を出た後が映像を見るスペースとなっている。だが、作家紹介のような映像は実物を観る前に見ておきたいと思う人も多いだろう。その点を考慮し、入り口を普段と逆にするなど工夫があってもよかったと思う。なお、訪れた日は展示換えのため常設展を見ることができなかった。萬鉄五郎はじめピカソの影響を少なからず受けた画家の作品を有するだけに残念だったが、じっくりとピカソを味わうことができる、満足度の高い展覧会だった。

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