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岡本太郎 明日の神話

岡本太郎 明日の神話
2007年4月27日〜2008年4月13日
東京都現代美術館

昨年汐留で公開された話題の大作、岡本太郎の<明日の神話>を観た。常設展のなかの特別公開という扱いで、展示期間が約一年と定められている。

3階まで上がり、岡本の他の作品を展示している前室的な空間をぬけると、突如巨大な空間が現れた。長らく行方不明になっていた作品としてメディアで盛んに取り上げられていたこともあり、構図等は事前に目にしていた。が、実際その大きさには圧倒された。作品自体パネル14枚に及ぶ全長30メートルの巨大な作品なのだが、余裕をもってその大作を展示することができる東京都現代美術館という空間にも驚かされる。

写真を撮るためのスペースも設けられ、カメラを持っていなかったことが悔やまれた。これだけの大きな作品となるとどこを切り取るか、それは撮影者によって様々だろう。友人と切り取った画面をみせ合うのも面白そうだ。

作品と対面する人の中には、ピカソの<ゲルニカ>を思い起こす人もいるに違いない。どちらも大きな作品であり、ともに人類の起こした悲劇を描いている。<ゲルニカ>は空爆、<明日の神話>は原爆に対するメッセージであるが、蹂躙された<ゲルニカ>に比べて、<明日の神話>は再生への希望も垣間みせている。これは岡本の色使いや伸びやかな造形のおかげもあるだろう。入場の際に「こども チャレンジガイド」という一枚紙をもらうことができた。「太郎さんがえがいたキャラクターたちを探せ!」と題して、<明日の神話>に描かれたいろいろな生き物や動物たちを、ガイドを参照しながら見つけ出すというものである。手法としては一般的なものだが、大きさに目が行きがちになる本作品においては、個々のモチーフに目を向けさせるきっかけとして上手く機能することだろう。

さて作品もさることながら、同じ部屋の片隅で上映されていた2本の映像が効果的であった。1つは作品ができあがるまでを、岡本の言葉や制作風景を織り交ぜながら、残された4枚の下絵の存在に焦点をあてて描き出したもの、もう1つは眠っていた作品の発見から輸送、修復の過程を丁寧かつ、わかりやすく見せているもの。今、隣に飾られている作品がどんな状態で放置され、どれほど痛んでいたのか。それを修復するためにどのような設備と時間が必要だったのか。映像から作品の輸送と修復に関わった者の熱意と努力が伝わってくる。映像はあらかじめ公開を念頭に置いて撮影されたのであろう。カメラワークも観るものの視線を引きつけるよう工夫されているし、時間も長過ぎず適当だった。モニターの設置場所も作品鑑賞の邪魔になることもないように配慮されている。かといって、映像を観る人が狭さを感じることもない。ゆとりのあるスペースの使い方ができるのも大展示室をもつ東京都現代美術館だからであろうが、作品との心地よい距離感は嬉しいところであった。

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コメント

もういちど投稿にチャレンジしてみます。
明日の神話、良かったですね。

あのような巨大な壁画が美術館の「中」で見ることが出来るということ。
東京に住んでいて幸せだなあと思う瞬間です。
自分の住んでいるところから一時間あれば殆ど東京のどこの美術館にも行けます。

この幸せをかみしめつつ、自分のことをやりながらも美術館巡りをしていきたいと思います。
また機会があれば一緒に美術館に行きましょう。

投稿: ryuusinn | 2007年6月 6日 (水) 23時11分

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