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パルマ展 02

パルマ イタリア美術、もう一つの都 02
2007年5月29日〜8月26日
国立西洋美術館
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「イタリアの友人への感謝の気持ちを忘れずに、決して作品に触れたり傷つけたりすることないよう、ご協力をお願いいたします。」

パルマ展入り口の「お願い」と題されたパネルにはこう書かれていた。同じ注意を受けるにしても、「イタリアの友人」というのはちょっと新鮮だ。

国立西洋美術館の特別展は、映像から始まることが多い。今回の約11分の映像では、パルマの町並みや歴史の説明、壁画等の移動できない作品をみせており、これから赴く空間への期待を高めてくれる。

パルマ展では、子供向けの教育ツール「ジュニアパスポート」が配布されている。残念ながらもらえるのは子供のみだが、この種のツールは大人が利用しても十分楽しめるし、役に立つ。

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対象年齢は小学校高学年から中学生。デザインはパレットを模しており、ちゃんと指を入れる部分も設けられている。凝った作りだ。

内容は、片面が「聖人探し」と「美術館でのマナー」、もう片面が展示作品の見方の提示に当てられている。

「聖人探し」
キリスト教の宗教画を見る際の大きな障害となるのが、「描かれているのはどんな場面なのか?」ということだ。なかでも聖人は、キリストの誕生や磔刑に比べてわかりにくい。「聖人探し」では「その人がどんな人でどんなヒドい目にあったのか?」と「その人とわかる印」にしぼって解説しており、非常にわかりやすい。

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こちらの面は順路にそって見所を紹介するといった感じだ。比較してみたり、想像してみたり、どのように絵と向き合えばよいのかを示唆している。

「どんなお話?」
チーマ・ダ・コネリアーノ<眠れるエンデュミオン>について。「この絵は、婚礼用の家具の表面に描かれていたと言われています。どうしてかと言うと、描かれている絵の物語と関係があるからです。どんな物語が描かれていると思いますか。(答えは裏)」ちなみに、作品の隣のキャプション(解説文)を読むと答えがわかるようになっている。

「比べてみよう」
コレッジョ<幼児キリストを礼拝する聖母>とミケランジェロ・アンセルミ<幼児キリストの礼拝>の二枚を比べて。「神の子イエス・キリストの誕生の場面は、多くの画家たちによって描かれました。母マリアが幼児キリストに祈りを捧げています。この2点の絵を比べてみましょう。あなたはどちらの絵が好きですか。それはなぜ?」これでは誰かと一緒に見に来ないと、感想は心の中に秘められたままだ。友達か親が近くにいることを祈ろう。もちろん、こういう問いかけによって、もっと絵をよく観るようにはなるだろう。

「この子の将来は?」
ジローラモ・マッツォーラ・ベドリ<アレッサンドロ・ファルネーゼを抱擁するパルマ>について。「アレッサンドロ・ファルネーゼが9才のときの肖像画です。アレッサンドロをひざに乗せている女性は、パルマを表しています。アレッサンドロは、将来パルマを治める以外にも重要な役割を果たすように育てられました。それは何だと思いますか?アレッサンドロの服装に注目。(答えは裏)」私はアレッサンドロよりもパルマの表現に面白さを感じたが、ここでは絵の背景にある知識を獲得できるように作られている。

他には「異なる表現」(比較)、「その瞬間」(キャプションと併せて回答を得る)の2つがある。

表と裏の両面併せて、コレッジョやパルミジャニーノなど、本展で見逃せない作品が一通り押さえられており、このパスポートにそって展示をみるだけでもパルマ展を充分楽しむことができるものとなっている。こうしたツールによって絵をみることを楽しめるようになれば、その後、他の展覧会にいっても自然と絵と向き合う時間も長くなるだろう。そのためにもあまり混雑していない状態でゆっくりと展示を回れる環境を確保したいところだが、現実は厳しい。

なお、パルマ展では講演会以外に、夜間開館日に芸大の院生によるスライドトーク(日程要確認)が行われ、展覧会の見所や主要作品の解説を聴く機会が設けられている。だたし、聴講には観覧券が必要となる。そこが問題。午後6時からプログラム通り40分のスライドトークをおこなったとしたら、閉館までの鑑賞時間は1時間強しかない。せっかく解説を聴いた作品たちを前に慌ただしく鑑賞させるのはいかがなものか。それとも解説を聴く前に作品を観ておけというのだろうか。スライドトークは講演会同様無料にし、別の日にゆっくり鑑賞してもらうようにするとか、もう少しトークを始める時間を早めるとか、他の選択肢もあったように思う。

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