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吉村作治の早大エジプト発掘40年展

吉村作治の早大エジプト発掘40年展 その1
2007年5月25日〜7月22日
仙台市博物館

R0013420

テレビ等で活躍中の吉村作治の名を冠した特別展『吉村作治の早大エジプト発掘40年展』の感想です。展覧会の目玉は、行政官セヌウの青いミイラマスクと木棺。完全未盗掘の逸品として、会場でも特別に設えられた黒が基調の展示空間に配置されています。まず始めの部屋に入って驚かされたのが、小さいながらも展示室一つを使って吉村作治がエジプト考古学の道に進むまでの過程を説明していることです。普段なら収蔵品が配される空間に、少年吉村の人生の転機となった一冊の本を展示するという力の入れ具合には少々戸惑いも感じてしまいますが、この展覧会の名に恥じない扱われ方とも言えましょう。

その後の構成は、マルカタ南、王家の谷・西谷遺跡、といった具合で発掘場所ごとに部屋を設け、それぞれの出土品を紹介するようになっています。展覧会全体の印象としては「割と小品が多い」ということ。いいかえれば、300点近くの出品点数を誇っていても、目玉の他にはこれといって「おっ」と思わせるような力のある展示品に乏しく、ややバランスが悪いようです。だからといって決して面白くないわけではありません。普段目にする機会がない重力計や宇宙線角度分布測定装置など考古学の測定器具も一緒に展示されていますし、古代の彩色が艶やかに残る彩画片なども楽しめます。後半になると木像や石盤など比較的高さのある展示品を見ることができます。

肝心の青いミイラマスクのある一室は、さすがの貫禄です。部屋全体が宝石ケースの中のような雰囲気すら漂わせており、その中央には堂々とマスクが鎮座しています。同室には黄金のマスクで知られるツタンカーメン王と王妃アンケセナーメンの指輪も展示され、展示品の質もまさに別格。このためだけにお金を払う価値はあるでしょう。

会場の何カ所かで映像が流されていましたが、映像機器の配置に関して多少気になる点がありました。一番の目玉である出展品、セヌウの青いミイラマスクの斜め後方に映像機器が配されており、実物のマスクが目の前にあるにもかかわらず、映像のほうに長らく目を向ける人の多いこと。そして、映像を見ている人が実物のマスクのほうまで溢れてしまい、マスクを見たい人にとっての障害となってしまっていること。休日の混雑する時間に訪れた故の見解かもしれませんが、もう少し実物との距離を保つことで、来館者と実物との「対話」も促進されるのではないでしょうか。館の構造上、動線の配慮に苦労している博物館の姿を垣間見たように思います。

なお特別展会場を出てすぐのところにはピラミッド型の募金箱が置かれており、本展の性格を端的に象徴しているように感じられました。いずれにせよ、吉村作治というタレントに依存している部分も多いため、見る人によって好き嫌いが分かれる展覧会といえそうです。その2へ続く。

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受信: 2007年5月28日 (月) 09時42分

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